私の実家では、うなぎを食べる機会が多かったように思います。それというのも、さかなが大好きな母は、ことにうなぎが大好物だったため、ことあるごとに近所の魚屋さんから買ってきていたからなのです。母がいつも買ってきていたうなぎは、白くて長い発泡スチロールのお皿にのっていて、薄い紙で包んでありました。まだ焼き立てのアツアツであることが多く、ふっくらツヤツヤとしたうなぎの身からは、ほんわりと湯気がたっていて、本当においしそうでした。ところで、母がいつも求めてきたうなぎには、ビニール袋に入ったうなぎのタレがついていただけでした。ですので、私は、うなぎというものは、ご飯にかば焼きの切り身をのせて、タレだけをかけて食べるものなのだ、と長いこと思っていました。ところがです。社会人になって、外で食事をいただく機会が増えてきた時、うなぎを食べに行こうという話になって出かけたのですが、そこで初めて、うなぎのかば焼きには山椒をかけて食べるのだということを教わりました。我が家ではいまだかつで、うなぎに山椒をかけて食したことなどありませんでした。山椒の木は庭にあり、初夏に家族全員で山椒の実を収穫したものですが、それは佃煮になっておりました。山椒を粉末にした香辛料があるということを、まったく知らなかったのです。今ではスーパーで販売されているうなぎのかば焼きにも、うなぎのタレとともに、山椒粉末が添付されています。
小学生の頃の国語の教科書にのっていた、いたずらきつねを主人公にしたお話。その中で、もう一人の主人公である男性が、病気の母親のために、わなをつくってうなぎを捕まえようとする場面があります。結局、いたずらきつねのせいで、うなぎを捕まえることができず、「うなぎが食べたい」と言って、男性の母親はなくなってしまうのです。それを自分のいたずらのせいだと後悔したきつねは、その後、せっせと男性のもとに、山の幸などを届けるというお話は、最後、悲しい結末で終わってしまいます。お話しの中の情景から、うなぎは昔の田んぼや川などで、普通に捕れたもののようです。
私が通っていた大学の近くに、美味しいと評判のうなぎ屋さんがあります。とはいえ、4年間大学に通い、さらには社会人になってからの、とある1年間は、大学にアルバイトに行っていたのに、その美味しいといううなぎ屋さんには一度も行く機会がありませんでした。確かに、大学生風情が、昼間っから大きな顔をして入れるほど、敷居は低くはないかと思いますが、それでもアルバイト時代には、何度か誘われたことがあったにもかかわらず、一度も行かなかったことがいまさらながら悔やまれます。そのうなぎ屋さんに誘われた当時は、大してうなぎが好きではなかった、というよりも、むしろ苦手だったため、誘いにのらなかったのかもしれません。
我が家には長いこと、三匹のドジョウがいます。比較的大きな水槽の中で、ゆうゆうと住んでいます。この三匹はすべて娘が実家の近くの川で捕ってきたもので、動きの遅い娘に捕まえられるなんて、娘以上にのんびりしたドジョウなんだね、などと笑っていたことを思い出します。うなぎの顔つきがきりっとした精悍なイメージの顔つきであるならば、ぱっと見たところ、同じさかなかと思うほど、似た感じのドジョウは、非常にのんきな顔つきをしています。だいたい、口の周りのヒゲであるとか、ドングリマナコであるとか、本当にユーモラスな顔をしています。
"昔、夏祭りの屋台でうなぎつりと云うものがあった。水槽の中にうなぎが泳いでおり,それを針で引っかけて吊り上げるのである。20センチほどの短いサオを渡される。その先に細い糸があってハリが付いている。これをうまくうなぎの体に引っかけて吊り上げるという仕組みなのであった。引っかける時にはうなぎのエラの部分を狙わないといけない。そこに引っかかれば第一段階は成功だ。でもここで気を緩めてはいけない。"
最近のトップニュースとして、2011年7月の新聞に「うなぎ」の産卵場所がほぼ正確に分かりそうだという記事がでていました。T大学の大気海洋研究所などの研究グループがニホンウナギの卵をグアム島の西方海域(「西マリアナ海嶺」の南端)で大量に採取したそうです。かつて同グループが世界で初めて31個の「うなぎ」の卵を発見したのですけれど、今回の発見はそれを凌いでおり、産卵場所の、より詳しい解明が期待されています。これまで「うなぎ」の産卵場所がどこかは長らく不明のままでした。遠く離れた海域から何千キロメートルもの距離を泳いで日本近海までやって来ることまでは分かっていたのですが、その産卵場所の特定がなかなか出来なかったのです。
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